嫌だなと思うことには、いろんな理由がある。
相手のどこに反応して、自分がどんな感情にあるのかを確認しなければ
わからないことがある。
許す・・・ということには、本当に深い意味があるなと思う。
そして、許せない気持ちから、許すに至るまでには、たくさんの葛藤があるし、
自分じゃどうにもできないと思うこともあるかもしれない。
わたしが、いままで本当に許せなくて、その許せない気持ちのはけ口がわからずに
苦しかったときのことをお話したいと思う。
もし、いまそれで当時のわたしのように苦しんでいる人がいたら
何かの役にたてればと思う。
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二十歳くらいのときのこと。
わたしは幼い頃から、父と折り合いがうまくいかなくて、
婿養子でやってきた厳格な職人の家のしきたりなんかに馴染めないことや、
仕事でのイライラなどを、いま、思えば、父は、幼いわたしに八つ当たりしていたのだろうなと思う。
子供っぽくて、すぐにキレて殴ったり、人の傷つくことを平気でしたり、
いい父親だったかといわれると、お世辞にも言えない。
そういうこともあってか、思春期になると、まったく口を利かなくなり、
それが、18歳までにわけのわからない怒りが、膨れ上がっていき、
一旦は、東京に出て離れてみて、
父のことを許せたと思っていたけれど、二十歳になったときのこと。
お金の問題で、ひどい裏切りをされ、
やっぱり、この父親が許せない!!と思った次第だった。
東京と庄内と離れて暮らしているけれども、父の方は、やった側は、
わたしがどれほどの怒りと憎しみを持っていたかわからなかったと思うが、
わたしは、父にこの思いの丈を話したところで、だから何だ?とでもいうようにスルーされるのが
眼に見えていたので、自分で、「許せない」気持ちと
向き合い続けるしかなかった。
許せない気持ちというのは、最初のうちは、人に話して聞いてもらって、発散することもあるけれど、
根が深いようなときは、人に話してもあんまり意味がないことに気づいた。
なぜか、自分が苦しくなっていくからだった。
何年にもわたり、父のことで、許せない感情、怒りの感情と向き合っていくうちに、
どうなったら解決するのか、果たして父の性格が変わって、
わたしにいままでのことを心をこめて謝罪したら、それでこの気持ちが晴れるのか、
すら、わからなくなっていた。
とにかく、この重い、「許せない」感情から逃れたい。
この感情から、自由に抜け出したい。
そのとき、わたしに心を占めていたのは、それだけだった。
つづく
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