実家の父、レジェンドひとしの話。
自粛ムードで、どこにも行けないねと学校も休校になったというのに、父が感染者が出ている隣県に泊りがけの旅行にいく計画を仲間と立てているという話しを母から聞いた。
母は憤慨しており、行くなと行っても「宿をもう予約しちゃったから」と父はいう。年寄りは危ないんだ、うつったらどうすんの!70歳超えの父を心配していう。
そんなのキャンセルすればいいじゃんと思ったが、幹事となる人が進めている企画だからとのこと。たぶん父のことだから誘われるままに、何か楽しそうと、何にも考えていないのだと思った。
しかし、よくよく話を聞くと、四名で行く旅行のメンバーは他三名が幹事を筆頭に癌や持病を患っており、しかも、幹事の人は、今も入院中で治療を受けているということだった。
あとの二人も癌があちこちに転移していたり、肺に水がたまり定期的に水を抜きにいかないといけないという、言わば満身創痍。
余命幾ばくもないかもしれないという状態だという。
父は去年の夏に癌の手術を受けて一応完治しているが、
それってさ、ウィルスがうつっちゃうかもとか関係なく、もう俺たち後残りわずかだから、
みんなで思いで作りしようって旅行だよね・・・
しかも、感染者のいる県にいって。父は何も考えていないから、OKしたのかもしれないが、母と私は、思い出作りたいなら、自分らだけで行ってくれ。父を引っ張るなと思った。
結局、幹事さん退院できずに、旅行はキャンセルになり、父の寿命ものびたような感じ。
「だから今は自粛しとけばいいじゃん」と言う私と母に、父は、
「あと一ヶ月先に延ばすことになったんだよ」と言った。
何をのん気に言ってるんだか、わかっていないと思うが、それは絶対に友引だと娘は思った。
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